てんどうちひろの介護日記

父の介護を綴りました

在宅介護はじまる

いよいよ高沢病院を退院。我が家での在宅介護が始まる。といってもどちらかと言えば同居に近い感じ。毎日デイサービスに通い体力維持しつつ認知症の進行が少しでも緩やかになればと期待を持つ。しかしこの期待は1週間で崩れることになる。デイサービスが退屈だと言い始める(レクリエーションに参加し交流をする社交性はないのは分かっていたが・・・)。私が帰宅すれば「現金を下ろしたいから郵便局へ連れていけ」と毎日のように言う(この時、治療費で預金残高はほぼゼロであったので下ろしたくても下せないのが実際)。毎回説明するも今度はカミさんにタクシーで連れてけ、息子にも同じ要求をし始める。

 

3月、土日はデイサービスがないことから一日をテレビ、ビデオ、と昼寝を繰り返していたが、ある時、散歩に行きたいと言い出す。良い兆候だと思い一緒に出掛けるものの50mも進んでは腰かけてしまう。想像以上に足腰が弱っていたことに驚かされる。初日は近くの自販機でコーラを買って戻ることに。その後、デイサービスがない日の散歩(と言っても自販機でジュースを買ってくるだけ)が日課となるがそれを境に「タバコが吸いたい。買い置きを出してくれ。どこにしまった。」と言い出す。さすが火の始末に不安があること。医師からもタバコはやめさせるように忠告されていたことから「処分した」とうそを言ってごまかす。が「吸いたい」という欲求の強さ、人間の欲望の強さを感じる出来事が起きる。

 

その日、何も言わず黙って家を出る。気づいた息子が後をつけると50mほど先で一休み。また50m先で一休みと歩き続けていると私に伝えてきた。さすがに私も心配になり、後を追いかけ父に声をかける。曰く「タバコを買いにコンビニへ行く」というのである。「場所分かる?」と聞くと「分からないけどあるていればその辺にあるだろ」とある意味正しい返事が返ってくる。ただ何時間かかるかわからないから一番近いコンビニへ連れていくことにする(それでも500mはある)。2時間かけてコンビニでタバコを買い求めたのである。家の中では吸わないという約束で喫煙を認めてしまったのである。

 

この後、現金・タバコ・独り暮らしが父にとっての最重要項目となり親子関係に溝が生まれることとなる。